HOME

パジェロミニ H58A (2012)


パジェロミニ H58A

この車は メーカーの言う “選択と集中” により、合理化の対象となっています。

2012年の法規対応状況から推測すると 生産終了時期は近いと思います。

近年では車の評価=燃費です。趣味性の高い後輪駆動車においては今後も期待が持てそうにないので 現行パジェロミニを確保しました。

以下に ショックの抜けた初代パジェロミニ(H56A前期型 走行距離15万キロ)から 乗り換えて 感じたことをまとめます。    --> 燃費のページ

◎仕様 : H58A 4WD TURBO 5MT

◆乗り心地
初代の堅牢でソリッドな乗り味に対して、現行車は乗用車らしい仕上がりです。
トレッド拡大により安定感は向上。一方、ピッチングに関してはホイールベースの延長効果は今一歩であり、レイアウト的な限界を感じます。好みにもよりますが タイヤの存在を意識する乗り心地となっています。

◆操作感について
ハンドルとシフト操作については質感が向上。ブレーキは近代化。それぞれダイレクト感と引き換えに進化したようです。 言い方をかえれば 介在物が増えたような感覚ですが 上品になったともいえます。

◆ターボエンジン(M/T車)
初代のDOHC 20バルブと比較して 意外にも現行車の方が吹け上がりは軽快です。
レッドゾーンが1,000回転ほど低いこともあって 意外なほど簡単に 燃料カットになります。 ところが 低回転で負荷をかけると一気に回転が落ち込みます。回転体の慣性質量は少なく設定されているようです。4気筒エンジンですが全体的に粗雑な印象です。

◆動力性能・運動性能
M/T車においては 巡航時に車間距離が変動し易く トルク不足を感じます。 ただし 適正なギヤを選択して アクセルペダルを踏み込めば、勇ましいサウンドと共に必要な加速を得ることは可能です。旋回時の挙動については ニュートラルな方向へ変更されています。 ただ、高速道路ではパワー、ハンドリングともに やや心許ない感じがします。
また、H56Aで圧倒的に不足していた後輪のトラクションと 4WD時のタイトコーナーブレーキング現象は かなり改善されているようですが プッシングアンダーが顔を出します。

◆静粛性について
明確な騒音低減を体感することができます。 静かとは言えませんが 防音材により騒音を押さえ込んでいるような印象です。 ただし、巡航域でのエンジン音(エキゾースト?)は音質が悪く 個人的には最大の不満要因です。 KIX追加と同時に新作されたダッシュボードのデザインは良いのですが 軋み音がします。 デザインとコスト削減は日産流?…少し残念な気がします。

H58A ハイマウントストップランプ対策のルームミラー

◆後方視界について
ハイマウントストップランプが室内配置となり 後方視界が悪化しています。
ランプの小型化を考えましたが リスクが高そうなので断念。ルームミラー位置を 20mm下げることで対策してみました。 結果は良好ですが ミラーが少しジャマです。
リヤシートは前倒しで使用していますが年式変更でヘッドレストの可倒機能が廃止されたので困っています。

◆燃費と航続距離
…現在調査中ですが H56Aより1〜2km/Lは向上しているようです。燃料タンクも大きくなっているので 航続距離は飛躍的に向上しています。

◆H56Aからの乗り換えについて
初代パジェロミニ(H56A)は ダイレクトな操作感と高回転型エンジン、極端なギヤ比と激しい騒音、結果として驚くような燃費を叩き出す個性的な軽自動車ですが 一般的見解として問題点の塊といえます。
現行車(H58A)においては 徹底した問題点潰しに臨んだように感じます。 動力性能と音質、細部のデザインを除くと ほぼ不満のない仕上がりです。 プレミアム路線に変更されたと思われる運転感覚は 上質にして濃厚です。
一方で、初代より続く フレーム一体のモノコック構造、前輪ストラットと後輪駆動の組み合わせ等は継承され、乗用車として運転を楽しめる車であることでは一貫しています。

個人的には“おっさんセダン”に近い運転感覚だと思います。 自分も含めて この車のユーザー層は満足していることでしょう。 まったりとした車ですが もっさりで有名なカロッェリアのサイバーナビを付けてみました。 このナビはオーディオ部分の性能が優秀で グラフィックイコライザーの調整が最近の楽しみとなっています。

◆経年変化
生産終了の直前に入手した車両ですが、減価償却も終わる頃になると、車の乗り味も変わってきます。
ショックの抜けたサスペンションは、路面とタイヤの状態をリアルに伝えるようになり、 新車の頃には分からなかったボディー剛性の不足を感じさせるようになります。
冷却ファンが電動化されているので エンジンレスポンスは良好で、経年変化した排気音の影響なのかトルク感もあります。 実際、ラフな発進をするとタイヤが空転します。雨の日には直ドリを避けたいので4WDにシフトします。 この時、適正な前後重量配分からは 運転する楽しみが提供されます。
一方で駆動系はよく壊れます。重量増加の影響かもしれませんが、心置きなく走り回ることは 許されないようです。 潤滑が途切れないように十分注意をして、丁寧な運転を心掛ける必要があります。

本文の車両は現行パジェロミニ(ABA-H58A)です。文章は全て個人的な感想です。
パジェロミニは6月末をもって生産終了になりました。最後なのでモーターファン別冊 “2012年 軽自動車のすべて”を入手しましたが 意外に高評価です。